マイノリティ・レポート
Minority Report (2002) 2時間20分 20th Century Fox

スピルバーグ監督と聞くと観る方の期待度が大きくなって、それで、評判がいまいちのトコがあるが...
あと、不評のトコに終わりの部分が要らないとか、ま、いろいろな見方はあるが....。
それにしても、AI もナゼか評判が今一なのはよく分からんな....。
お話は近未来の殺人犯罪予防システムの話だ。
ジョン(トム・クルーズ)が率いる犯罪予防局が予知能力者が殺人を予知したら、その犯罪が起きる
前に犯人を取り押さえてしまうシステムなのだ。
ここで、トム・クルーズが操作する画面は実際にアメリカの大学で研究されているシステムを応用したとか
交通システムもそうだ。
ま、カナリ未来に在りそうなシステムを道具にしているのは嬉しい限りである。
むろん、実現している訳でないから、将来本当に在るかどうかはわからないが...
ま、それがSFでもある。

SF映画の楽しの一つに、フランスの元祖SF作家ジュール・ベルヌのようにその中に書かれたものが
随分実現されているように、未来の道具、システム、社会のあり方などが提示されている事だ。
この作品にも沢山の未来道具、システムが出てくる。

まず、未来大画面TV、画像操作システム、眼球個人監視システム、交通システム、クロン人間、ジェットスーツ、
電撃銃、小さい幽霊のような探査メカ、カプセルに縛られ刑期の間夢を見させられる牢獄など....。

面白い事に、予知案内が木を機械で削って祭りの出店に在りそうな大げさな透明螺旋通路を転がって出てくる。
ハイテクの小さな反抗!のように見える。
SFの一つのテーマーにハイテクの危機があるが、この装置が映画のバックボーンを暗示しているかのようだ。
技術的問題も当然あるが、でないと映画にならない!

それが、犯罪予防システムなのだが、ある時、ジョンが一人でいるときに、彼自身が犯罪者になると予知があった!
彼は全く知らない男をどうして殺すことになるのか分からず、逃げることにした。
ここも、面白い。もし、ジョン以外の人物がそうなったら...30分で終わってしまう。TV番組ならいいが...。
さらに、犯罪予防システムに疑問を持つ司法省のダニーがジョンと対立し、彼を追っかける立役者になる。
当然、ジョンを追っかけるのは彼の部下達である!
ジョンは本当に逃げ切れるのだろうか?

この映画の楽しむポイントは、先ず先に書いた未来小道具、全員が監視されている社会、
正しいと思われている、犯罪予防システムがその欠陥を解き明かされる。
子供だましと思う人も多いようだが、今の法律も欠陥だらけだということを認識すべきなのである。

さらに、クローンの話が出る。多くが若く死ぬが、何人かは生き延びさらにその中に未来予知が出来る
者達が居て、その中の特に優秀な者を3人不思議な水槽に浮かせて半分睡眠状態にし予知があると
コンピュータがそれを殺人犯罪予防局の者にしらせるのだが、
ここで、クローンの大半が若くして死ぬというのは遺伝子の問題なのだといわれているが、それを使ったのだろう。
予知能力者も最近の映画に出てくるようになった。そのものズバリは「ギフト」「プロフェシー」がある。
残念ながら、まだ、科学的には分かっていない領域でもある。

あと、「逃亡者」的な面白さや「北北西に進路をとれ」のような身に覚えがない事で犯罪者にされるなどで
ストーリーをスリリングなものにしている。
さらに、犯罪の黒幕を暴き、その元を正す。ここが、ありきたりという人も多いように思うが....
ここを作らないと、すっきりしないから、これで良いのだと私は思う。

よく、種明かしされると観る気がしないとか、興味が半減すると言う人が結構いるが、
私は映画を終わりから、真ん中から、分断して観てもあまり気にしない。
好きな映画は最近DVDで観るから余計だが、気に要ってるトコを何回も観たりするくらいだから...。

映画には何度観ても違う面から観たり、特にDVDだと静止させて何度も確認したりできたり
する事で、新しい発見がありなかなか楽しいと思うが....。

この映画もその意味で私が何度も観る作品になりそうである。

Starring:
Tom Cruise,
 トム・クルーズ(ジョン・アンダートン)
 犯罪予防局のチーフ
Colin Farrell,
 コリン・ファレル(ダニー・ウィッートワー)
 司法省の役人
Samantha Morton,
 サマンサ・モートン(アガサ)
 予知能力者
Max Von Sydow
 マックス・フォンシドー (ラマー・バージェス)
 犯罪予防局の局長
Peter Stormare, ピーター・ストーメア

Directed by:
Steven Spielberg スティーヴン・スピルバーグ
Sound: ジョン・ウィリアムズ