アルテミシヤ(97)
仏伊の共同映画である。17世紀イタリアのフィレンッエに実在した
天才女性画家アルテミシヤの絵に目覚め自立するまでの半生である。
当然このころは男尊女卑の世界、女性が境界の壁画を描くことは罪悪とされた時代である。
修道院にいて自分の像を描いて見つけられたが牧師は彼女の天分を見つけ画家になるように
薦められる。学校に入ろうとするが、女性との理由で入れてもらえず、画家である父のところで働く。
ある時、父のライバルが共同で壁画を描くことになり、そのライバル、アゴスティーヌの遠近法に
興味を持つ、またアゴスティーヌも綺麗で鋭い才能を持ったアルテミシヤに興味を抱き、弟子として
絵を教える。いつしか師弟以上の関係になり、怒った父が訴え裁判に....。
カメラワークはアメリカ映画とは事なるも実に淡々としているようで、アルテミシアの絵に対する迫力
が飛び出てくる。その迫力に圧倒する。
アルテミシヤの絵にたいする執念がアゴスティーヌとSEXをもさせてしまうのである。
彼女にとってSEXは絵の勉強の手段でしか過ぎないのである。
アルテミシヤのすごさはデッサン力、色彩感覚である。残すは少々の技法を知らないダケなのだ。
絵の興味の為に男女の営みののぞき見もする。幼なじみの男をキスの代わりに裸になってもらったりする。
最後に父の仕打ちに怒り、私には絵があるわと家をとびだし、アゴスティーヌの考案した遠近法を
確認する道具を持ち出し、海を眺める所で終わるが、このシーンは「風と共に去りぬ」エンディングに
にて自立する人間の迫力を感じさせる。
絵に限らず、芸術の志のある人には是非、見てもらいたい作品である。

女医(95TV)

シドニー・シェルダン原作とあるからサスペンスもの?と思ったが、
近年問題になっている安楽死をテーマにした、かなり考えさせられる作品である。
かと言って退屈な作品でもない。162分とかなり長いので、時間を取るのが問題だが。
内容的にはテンポが結構良く162分間を飽きさせない。
3人の女医が出てくるが、主役の女医ペイジ,Drテイラー(ゲイル・オグラディ)。
黒人女医Drハンター、キャット(バネッサ・ウイリアムズ)、
楽しく良い生活を求め、外科医を父に持つDrタフト(ブルック・シールズ)
米国のTVシリーズをまとめたものだそうだが、サスガに手慣れているのか
3人のドラマが小気味よく作られている。
女医をしかも研修医でみんな優秀な医者で、当然若いから、恋の話もあるが
何の言っても、患者に接する態度が献身的なのだ。
主にDrテイラーの話が中心になるが、末期ガンの患者が死を目前に激痛が
数分おきに走り、Drテイラーに楽にしてほしいと願う。
Drテイラーは主治医に相談するが冷たくあしらわれ、心臓外科医であり
Drテイラーの先生でもあるDrパーカーに相談するが、
”医者ならとる道は分かるはず”と言われ、決心しポーカー好きな
クローニン老人を安楽死させる。
なんと、この老人は遺産を200万ドルと2ドルを彼女に残し、
それを不審に思った、クローニン夫人が裁判に殺人罪で訴えた。

このビデオは長いが決して見て損する作品ではない。
人間の尊厳、慈悲、愛情とはとは何か!を問う作品で、見る方も脳味噌を
しっかりとした状態で見たいものである。
見た後は、考えてほしいものである。
原題は”NOTHING LASTS FOREVER”である。


グッド・ウイル・ハンティング(98)

青春物語では有るが、今までの物とはチョイト異なるテーマがある。
今までの物は、素敵な青春、恋の物語、反抗的作品これは結構有名な作品が多い、
そんな中で、これは今問題になっている幼児虐待、不幸な過去を引きずった者、有能な能力故の世間との
関わりを馬鹿にして、自分を防御している若者のはなしである。
また、相対する大人(ショーン教授)も寂しい過去を引きずっていきている。
そんな様をえぐりながら、双方が新たな旅立ちをするまでのお話である。
しかも、出てくる人たちのがハイレベルな教授達、MIT(工科大学では世界の1の大学)の彼女
なのである。だから話の内容が難しい。
反対に、ウイルの友達は仲は良いが、いつも飲みあかしたり、下世話名話をしてたり、喧嘩したりの一般にいう不良。
だが、そのリーダー格の男が終わりに言う事がいい。
男の友情を見せてくれるシーンでもある。
MITの彼女と別れる時に口論となる内容も痛烈である。
全編にわたって、精神科医のショーン(ロビン・ウイリアムス)とのやりとりが凄い。
ショーンがこの超天才児ウイルの心を開けさせるまでの言葉、論理、感情の戦い。
ウイルも彼のものすごい知識でショーンの過去を言い当てさらに、今の心理状態も言い当ててしまう。
ショーンもウイルは自分の言葉でしゃべらないで知識の言葉でしゃべっている事を指摘する。
そこにヒトの過去、寂しさ、が隠れている。
お互いに心をさらけ出した結果は、真に分かり合える心の友達になる。

若者、大人に関係なく、人生を真剣に生きるようとしていいるヒト、迷っているヒト、過去の亡霊を引きずっている
いるヒト、反抗的になっている若者、突っ張っている若者、など色んなヒトに見てもらいたい作品である。

この作品に関わらずアメリカの凄さを見せられてしまう。
どう生きるか!を真剣に模索しているように見受けられる。
しかも!オリジナル脚本がこの映画に出ている、マット・デイモン(ウイル・ハンティング)と
ベン・アフリック(ウイルの親友)が作ったというから、またまた驚きである。
しかも、この二人このほかにもいくつかの作品を手がけている。

引き替え、日本ではアニメ以外はもう少し時間がかかるのだろうか?
黒沢 明監督は「生きる」に見られるように全編、どう生きるかを描いている。
サスガに世界の黒沢である。