娼婦ベロニカ98)
元の題は A Destiny of her own 彼女自身の運命 となる。
これの方がまだ内容に近いかもしれない。
たしかに、ベロニカは高級娼婦として、一生懸命に生きた。その話だが。
娼婦ベロニカとすると、ちょっとHな内容かと....誤解してしまいそう。
実は、中身は相当に濃い!しかも映画の作品としての出来は、有名になった
エリザベス、恋に落ちたシェイクスピアより上だと思う。
女の生き方をほめているわけではない。献身、愛、がいかに大切なモノかを
言っているのである。
彼女はさらに、誰にも負けない知性があった。小さいときから本が好きだったからであろう。
このストリーは男が見ても、最初は恥ずかしい感じがする位である。
彼女には大好きなマルコが居たが、ある時結婚は出来ない。評議委員の息子だからで有る。
対してベロニカは普通の家庭...と思ったが、失恋の後に母から祖母の代から娼婦の家庭と教えられ
一時期はショックを覚えるも、現実を直視し、コーティザン(高級娼婦をこういっていた)になるべく
修行をする。これがまた、なかなかで、男の見分け方、仕草、靴がオイランのように底が高い靴を履き
本も色々なものを読み、当時は女性は本を読むことが禁じられていた様だ。
さらに、若い男を連れてきてペニスの教育も....。
そして、晴れのお披露目。即、大臣が客になった。それからはベネチア一の人気もの。
それは、美しい殻だけでなく、詩人とも対等に渡り合える知性もあったし、何より、客を客としてでなく
男として迎入れたからである。母はクレオパトラ、テオドラ、アスパシアの様になれと言ったのが、その通り
になったの結果である。
ある時、ベニチアがトルコがキプロスをよこせと戦争を仕掛けてきたとき、戦闘の船がトルコの1/3しかなく
とても勝てない、そこでフランスの力を借りることに。フランスのアンリ王はコーティザンとして
すでに引退してマルコと同棲していたベロニカを指名。しかもその王は倒錯趣味。
どう楽しませたかは画面には出てこないが、結果はOK!しかし、マルコは裏切られた思いで、洗浄に
その戦火の中、ベネチアではペストが流行。大勢の犠牲者が出。偏執なキリスト宣教師が娼婦が
悪いとして、魔女狩りに似たリンチを加えていた。
そして、ついにその毒牙がベロニカにも...宗教裁判にかけられる事になる。
この宗教裁判が実は最高の所である。ハリウッド映画にはよくこの設定があるが、多分歴史がソウさせるのだろう。
結果は助かるのだが.....最後の告白としょうして彼女の考えを述べる。
この内容が素晴らしい。もうすぐ21世紀に成ろうとしている、今なを新鮮に、強烈な男性社会への皮肉にも聞こえ
男としては、ポコチンが縮む思いがする。
生きることと、信念を貫く事と、愛のない結婚、愛のある愛人関係、それがたとえ一夜のモノであろうと....。
真実の愛でなくても、一瞬の見せかけかもしれないが真実と錯覚して喜びを得る事は......。
さて、難しい選択かもしれないが......。

主役のキャサリーン・マコーマックは実にこの役にぴったりの顔立ちである。
しかも、役柄といえ、結構大胆なシーンもそれなりにある。むろんオッパイも...。
娼婦というより、愛人いや恋人かも、そんな雰囲気がにじみ出ている。

実に素晴らしい作品であった。
さいごの字幕に流れる音楽も戦い済んでやっと平和がやってきたそんな感じにさせてくれる
子守歌のように思えた。

The Honest Courtesan 
Veronica Franco, Citizen & Writer in Sixteenth-Century Venice
by Margaret F. Rosenthal University of Chicago Press