アンナと王様(99)
この映画もあの有名なユル・ブリンナーとデボラ・カーの「王様と私」のリメークだし、
王様がチュウ・ユンファなので、見る前は、どのような作品に成るのか
少し不安であったが、見始めるとこれは全く別物と言って良いくらいの雰囲気であった。

前のは、ミュージカル調で、屋外の撮影は無いに等しい。
それに比しこれは、ミュジカルの欠片もない。完全に歴史ドラマと成っている。
しかも、かなり、リアルに作っている。
まず、驚くのはその舞台である。セットを作ったと聞くが、スゴイ!絢爛豪華な出来である。
19世紀中頃のシャム王国の宮殿、自然、庶民生活が実際にそうで有ったかのようである。
話は、基本的にはユル・ブリンナーとデボラ・カーの「王様と私」と同じであるが。
見せ場は全くチガウ!
しかも、随所にエピソードや事件があり、さらに、王様とアンナの考えや文化の違いでのやりとり
が、一つ一つ、内容が充実していて、つい身を乗り出して見てしまう。
ジョディ・フォスターの演技もなかなかである。理屈、行動力、愛情、知性、こんなすてきな人は
彼女以外は誰が出来るのだろうかと思わせるくらいであり、役に完全に合っている。
また、チョウ・ユンファのシャムの王(モンクット)役も実にピッタリである。
ユル・ブリナーの場合は西洋から見た異国東洋の人と言った感じに作られているが、上映された
時代が時代だからしかたがないが、今となっては、チョト不思議なキャラクターに成っている。
しかも、芝居がかっている。
この映画は徹頭徹尾リアルに凝たのだろう。やや気負いも感じないではないが、王様だから..
これくらいは当然だろう。
ユル・ブリンナーとデボラ・カーの「王様と私」では戦闘シーンは無いのだが、これはかなり、上手く
物語に組み込んでいる。それが当時の時代をさらに感じさせる。
もっとスゴイのは恋人と密通したかどで侍女のタプチム(バイ・リン)が裁判にかけられ処刑される
シーンは、残酷な気もするが、時代なのだから.....と違和感もない。
王様や、彼の大勢の子が徐々にアンナの考えを受け入れ、アンナもまた彼らやシャムの文化を
受け入れていくさまも面白い。それが元で、ぶつかり合いが起きるたりもするが、アンナの転機で
危機も救われたりする。
結構、長時間の作品だが、時間の経つのが早い。それほど見せ場が多いし、飽きさせない。

そう、この映画は教育者、子供を持つ親達、そして恋人達には是非見て欲しい。
ま、気楽に時代絵巻を見る感覚で見ても、なかなか楽しめる作品でもあるが。
ハリウッド映画は本当にスゴイ!実に計算しつくされて、その上感情表現の上手さ、
音楽もなかなかいい。また、子役達の演技もいい。いろんな表情を見せてくれる。
チョト残念なのは、王様とアンナが賓客を招いた晩餐会での踊りが有るが、ここは、もうチョイ長く
見ていたかった。いや、全体にもっとながく見ていたい......。