トラフィック
TRAFFIC 2001 日本ヘラルウド
2時間27分

この映画はこれまでのハイウッド映画とは話の展開、映像の撮り方がかなり違う。
作品はセミドキメント風に作っている。
映像も写真で見るより悪い。あえて悪くしている。所々、モノクロ的になる箇所すらある。
そのせいか、おおくのドラマのように内面の描写はないに等しい。
映像の焦点は麻薬取引の売人関係、と警察、そしてオトリ捜査官のような男と、
麻薬取締連邦最高責任者とその家族。これだけならいいのだがその周りが沢山いる。
特に売人関係が複雑に登場してくる。一度見ただけでは誰がどうなのか分からない位である。
特に派手なカーアクションがあるわけでもないし、悲惨な麻薬患者が沢山登場する訳でもない。
麻薬取締連邦最高責任者のロバート・ウェークフィールド(マイケルダグラス)の学業優秀な娘が
淡々と薬付けになっていく所がわりとドラマチックになっている、この筋が麻薬を憎むように見る者に
訴えかけてくるとこかもしれない。
また、妊婦として出てくるキャサリン・ゼータ・ジョーンズは麻薬売人の妻ヘレーナ・アヤラで、
夫が逮捕されるまで、状況が分かってなかった。が、関わっていた一味から300万ドル返済しろ
といわれてから、居直って、夫の代わりをやるが、警察にはしっぽを捕まれない。
一匹オオカミ的なロドリゲスの行動は終わりの編までなかなか分からない。
いったい何者なのか?だが、この映画ではそれは主体でない。
彼の行動によって、麻薬の裏社会が見えてくる仕組みになっているのだ。

オスカーを4部門、監督賞、助演男優賞、脚本賞、編集賞を取ったのだが...
妥当なものと思われる作品である。

一応、最後は結論はないのだが...正義が勝つ...この所はアメリカ的。

この映画をみると、麻薬を憎むというより、麻薬が蔓延る社会の歪みが見えてくる
たぶん、それが監督の目的だったのではと思う。

この映画もそうだが、最近、脱ハイウッド的作品を試みる映画が多くなっているのは
良いことであると思う。だが、集客力ではまだ成功はしていないと思う。
この点が大きな課題かもしれない。かってのハリウッド映画も芸術性に走って、
業界の衰退をきたした事があったから、少々心配でもある。

監督:スティーブン・ソダバーグ
脚本:ステイーブン・ギャガン
マイケルダグラス:ロバート・ウェークフィールド
キャサリン・ゼータ・ジョーンズ:ヘレーナ・アヤラ
ドン。チードル:モンテル・ゴードン
ベニチオ・デル・トロ:ハビエール・ロドリゲス
デニス・クエイド:アーニー・メッツガー
ステイーブン・バウアー:カルロス・アヤラ
ルイス:カスマン:レイ・カストロ
エリカ・クリステンセン:キャロライン・ウェークフィールド